「キッチンスペシャリスト」 という資格を知っていますか?
キッチンスペシャリストは、主に住宅設備メーカーのショールームやリフォーム専門会社、ハウスメーカーなどで活躍できる資格です。
この記事では、キッチンスペシャリストの資格をもつ筆者が、資格の内容と活躍できる業界について、ご紹介します。
この記事でわかること
- キッチンスペシャリストの資格についてわかる。
- 試験の概要がわかる。
- 活躍できる業界がわかる。
住宅設備業界への就職や転職を考えている方は、どうぞ最後までお読みくださいね。
目次
キッチンスペシャリストとは
公益社団法人 インテリア産業協会 認定の民間資格
キッチンスペシャリストは、「公益社団法人 インテリア産業協会」によって認定される民間資格です。
インテリア産業協会が実施する キッチンスペシャリスト資格試験に合格し、協会へ登録。
認定書の交付により、「キッチンスペシャリスト」を名乗ることができます。
主な仕事内容は、住宅の新築やリフォームなどの場面で、キッチン周りを中心としたより良い生活空間を提案すること。
ユーザーの困りごとをヒアリングし、悩みを解決するための具体的なプランを提案します。
リフォームプランナーや、ショールームでのアドバイザーをイメージするとわかりやすいです。
わたしも住宅設備メーカーのショールームでの経験を活かし、資格を取得しました。
住宅の基本的な構造やシステムキッチンのつくり、そして家事動線のとり方まで。
必要な知識は多岐にわたりますが、誰もが使用する「キッチン」に関する知識ですので、身近に感じる部分も多く、比較的勉強しやすい分野です。
活躍の場も住宅設備メーカーのほか、建築業界やインテリア業界など幅広いです。
住環境に興味のある方に、特におすすめの資格ですよ。
合格率は?
インテリア産業協会の発表によると、2021年度(第34回)のキッチンスペシャリストの合格者は197名。合格率32.4%。
試験は学科試験と実技試験に分かれており、資格取得には両方の学科の合格が必要です。
2021年度の学科試験合格者は57.3%、実技試験の合格者は36.9%。
実技試験の合格者の方が、学科試験よりも少ないことが伺えます。
スケジュールと試験内容
キッチンスペシャリストの資格試験は年1回の開催で、学科試験と実技試験が同日に行われます。
2022年度に行われた資格試験の、受験概要をまとめました。
受験資格 | 年齢・性別・学歴・職業・経験 不問 ※ただし出題・解答は日本語のみ |
受験地 | 北海道・岩手県・宮城県・群馬県・東京都・愛知県・石川県 大阪府・広島県・香川県・福岡県・沖縄県 の全12地域 |
受験区分 | 受験料 | 備考 |
---|---|---|
①総合タイプ(学科試験+実技試験) | 14,300円(税込) | 同一年度内に学科試験と実技試験の両方を受験する場合。 |
②学科試験<先取り/免除>タイプ | 11,000円(税込) | 学科試験のみを先に受験する場合。 または過去3年以内に実技試験を合格している場合。 |
③実技試験<先取り/免除>タイプ | 11,000円(税込) | 実技試験のみを先に受験する場合。 または過去3年以内に学科試験を合格している場合。 |
※過去3年以内にキッチンスペシャリスト試験を受験し、一方の科目を合格している方は、免除タイプでの申し込みが可能です。
試験科目 | 回答方法 | 実施時間 | 試験審査の範囲 |
---|---|---|---|
学科試験 | マークシートの択一式 | 120分 | 1. 住居と食生活に関すること 2. キッチン空間に関すること 3. キッチン機能に関すること 4. キッチン設計施工に関すること 5. キッチン販売に関すること |
実技試験 | 記述式のプレゼンテーション方式 | 150分 | 筆記(図面表現)によるキッチン空間の企画・提案に関すること |
※それぞれ開始前に、15分間の事前説明があります。午前に学科試験、午後に実技試験と分けて実施されます。
実技試験は、指定された設定に基づいたキッチンプランニング、平面図や展開図、パースの製図などが求められます。
小論文で計画主旨を述べる部分もあり、学科試験に比べると実技試験の難易度はやや高めです。
もしどちらか一方しか合格できず資格取得できなかったとしても、次年度から3年以内であれば、受験申込時に免除申請をすることで、合格した試験は受験が免除されます。
ぜひあきらめずに、挑戦してみてくださいね。
※掲載の情報は変更となる場合もありますので、必ずご自身での確認をお願いします。
活躍する業界は?
2021年度受験者の、勤務先取扱品目をみると、最も多いのがキッチン・バス関連、空調などを扱う、住宅設備機器類。次いでリフォーム、新築と続きます。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
住宅設備メーカー
システムキッチンやシステムバス、洗面化粧台などの水回り設備をはじめ、空調・換気設備や床暖房、太陽光発電などを取り扱うメーカーを住宅設備メーカーと呼びます。
キッチンスペシャリストは特に、水回り設備を取り扱うメーカーのショールームで多く活躍しています。
ショールームアドバイザーの業務に、特別な資格は必要ありません。
より知識を深めたい人が、スキルアップのために受験することが多いですね。
企業によっては資格取得することで、お祝い金が支給される場合もありますよ。
ショールームでのアドバイザー業務を担当することが多いですが、専門的な知識を生かし、営業担当者としての活躍も期待できますよ。
主要メーカー名(一例・順不同)
- TOTO
- LIXIL
- パナソニック
- リンナイ
- クリナップ
- タカラスタンダード etc
リフォーム専門会社
キッチンは特にリフォームしたいという希望を持つ方が、多い場所でもあります。
リフォームプランナーが、さらに知識を深めるために、キッチンスペシャリストの資格を取得することも珍しくありません。
キッチン以外の部分もトータルで提案することが多いため、インテリアコーディネーターや、福祉住環境コーディネーターの資格をあわせて取得している方も多いですよ。
わたしがショールームに勤めていた時も、名刺に「インテリアコーディネーター」と「キッチンスペシャリスト」、両方の資格を記している方は多くいました。
大手ハウスメーカーは、リフォーム専門のグループ企業をもっていることも多いです。
地域密着型の、すてきなリフォームを提案する工務店もありますので、ぜひ一度、自分の住んでいるエリアにどんな工務店があるのか検索してみてくださいね。
主要会社名(一例・順不同)
- セキスイファミエス
- 住友林業ホームテック
- 三井ホームリモデリング
- 地域密着型のリフォーム会社 etc
ハウスメーカー
キッチンは家族が集まる場所というイメージから、特にこだわる方が多い場所です。
キッチンを中心とした作業動線や家事動線によって、家全体の使い勝手も変わってくることから、ハウスメーカーでもキッチンスペシャリストは活躍しています。
外構も含めた家全体と、幅広い知識が求められるため、インテリアコーディネーターや建築士など、より専門的な資格取得を目指す方もいます。
主要メーカー名(一例・順不同)
- 積水ハウス
- 住友林業
- へーベルハウス
- 三井ホーム
- ダイワハウス etc
独学でも合格できる?
キッチンスペシャリスト資格試験は、学歴・業界経験ともに不問のため、勉強すれば誰でも受験することができます。
ただし建築業界には専門用語が多い上にプランニングにはコツも必要なため、未経験の方が独学で合格を目指すには、気合を入れて学ぶ必要があります。
独学で勉強するなら、インテリア産業協会の発行している 「キッチンスペシャリスト ハンドブック」がおすすめです。
基本的な知識が図解とともに載っているので、資格取得後も重宝しますよ。
合格するには知識だけでなく、「慣れ」の部分も大切です。
過去問をくり返し解き、提案のしやすい型を身につけていくとよいでしょう。
実技試験に不安がある方は、通信講座を受講するのもおすすめですよ。
こんな人におすすめ!
いかがでしたでしょうか?
キッチンスペシャリストの資格内容と、活躍する業界についてご紹介しました。
お客様の悩みをヒアリングし、プランニングするキッチンスペシャリストは、次のような方に特におすすめです。
おすすめな人
- 相手の話を聞き、ニーズをくみ取れる人
- 普段からキッチンに立つ機会があり、関心がある人
- 学び続けることが苦にならない人
- いかに家事を効率よく行うかに、関心がある人
食や住まいに関心のある方。ぜひ一度、検討してみてはいかがでしょうか。